ホームページの改善などを行えば、住民からの問い合わせ対応はもっとうまくいく(画像は枚方市、https://www.city.hirakata.osaka.jp/

コロナ禍においては政府の対応策が目まぐるしく変わったが、自治体の情報発信はどのように行われていたか。明らかになった課題と、どのような改善が可能か。大阪府枚方市の事例を基に同市議会の木村亮太議員が報告する。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「コロナ禍における自治体の情報発信の在り方(上)~(下)」を再構成したものです

(木村亮太:大阪府枚方市議会議員)

 2020年1月16日に日本における、新型コロナウイルスの最初の感染者が発表され、その後、政府、自治体は感染拡大防止のための対応に追われました。政府の対応・支援策が日々変化する中で、住民との距離が近い地方自治体での対応と果たすべき役割は住民とのコミュニケーションをしっかりと取り、分かりやすい情報発信をすることだと考えます。

 第2波、第3波への備え、また、今後の自然災害時への備えとしても地方自治体はこれまで以上に情報発信や市民とのコミュニケーションを意識する必要があります。

 今回のコロナ禍において、実際の自治体ではどのようなことが起きていたのか、大阪府枚方市の事例を中心に紹介します。さらに、緊急事態に対する自治体の情報発信の課題は何か、改善点はあるのか、今後の展望などについてまとめます。

政府の発表のたびに問い合わせが殺到

 新型コロナウイルスは未知のウイルスであり、感染拡大の状況や経済への影響を踏まえて、その都度対応策や支援策が変わることについては致し方ない部分があると考えています。しかし、対応策が変わるたびに、国民や自治体がその対応に追われます。

 例えば、特別定額給付金についてです。当初は、所得の減少幅や年間の所得の条件が付くなど、対象世帯を限定した給付金が予定されていました。1世帯につき30万円で名称も「生活支援臨時給付金」だったものが、最終的には国民一律で1人当たり10万円支給の「特別定額給付金」となりました。

 報道が先行していたため、政府が最終決定していない状況で、30万円の段階では、「私の世帯は給付対象なのか」「給付はいつからされるのか」、10万円が決定してからは、「どのように申請したらいいのか」「申請書が手元に届くのはいつか」といった問い合わせが、自治体に殺到しました。

 学校の休業についても、2月27日に安倍晋三首相が3月2日から春休みまでの一斉休校を発表してから対応に追われました。枚方市の公立小中学校の休業の推移については、以下のようになっています。

(1)3月2日(月)〜3月24日(火)休業期間
(2)4月8日(水)〜5月6日(水)休業期間
(3)5月7日(木)〜5月10日(日)休業期間
(4)5月11日(月)〜5月31日(日)来校日を設定し、児童生徒の健康観察、ICT(情報通信技術)・プリントを活用した課題の提示や学習状況の確認
(5)6月1日(月)〜6月12日(金)分散登校・短縮授業(3時間以内)
(6)6月15日(月)以降は感染対策を実施した上で通常授業