適正な管理がされていないマンションが増えている。その行き着く先は「廃マンション化」だ。マンション管理士などの資格も持つ、袖ケ浦市議会の根本駿輔議員は、マンション立地が決して多くない非都市部こそ、廃マンション化リスクが高いと警鐘を鳴らす。(JBpress)
※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「自治体とマンション管理~非都市部ほど潜むリスクに備えよ(上)~(下)」を再構成したものです。
(根本駿輔:千葉県袖ケ浦市議会議員)
「分譲マンション管理の責任は誰にあるか」と問われれば、当然所有者と、所有者の集まりである管理組合にあると答えるほかない。管理会社でもなければ、もちろん自治体の責任ではない。
そうはいっても実情として、マンションの適正管理に対しての関心が高い管理組合は、なかなか増えていかない。このあたりは行政に携わる方は実感としてよくお分かりになるかと思うが、「管理」という目に見えにくい地味な話は、たとえ自分たちの住まいであっても行政の業務と同様に住民の関心を引きにくいのだ。いくら啓発・啓蒙を行っても、思うようには関心は高まらない。
一般的に、管理組合の実質的な意思決定を行う理事会は1〜2カ月ごとに開かれることが多いが、建築・設備の話から金銭管理・運用、防災・防犯、住民マナーの話など議題の振れ幅が大きく、時間もそれなりに取られた上、責任も伴うので負担はなかなか軽くならない。
こうしたことから共働きが当たり前となった若い世代はもちろん、体力的に厳しい高齢者にも理事会役員は敬遠される。やむを得ず役員を引き受けても、振れ幅が大きくさまざまな知識が必要となる話題についていくのは簡単ではなく、ついつい管理会社任せになってしまいがちである。昭和に建てられたマンションは2〜3割が管理会社に委託しない自主管理だが、平成に入ってからはほとんどすべてに近いマンションが管理会社に管理業務を委託している(国土交通省 2018年度マンション総合調査による)。
管理会社の立場から考えると
では、管理会社はどの程度マンションの適正な管理について考えているのだろうか。これは最終的には管理会社にもよるし担当者にもよる、としか言えないが過度な期待はできない。
管理会社の中心業務である(管理組合からの)管理委託の収益構造は、基本的に安定しているが薄利である。さらに個人や一般の法人と違って管理組合が相手となるため、新規の受託は容易ではない。そのため、安定性を優先して長期的に信頼を築くことを第一と考える管理会社もある。