これは神奈川県相模原市にある鹿沼公園での例だが、あなたの自宅近くにある公園でも同様のことが起こるかもしれない。
鹿沼公園では敷地内に既存公共施設を集約した建物を建て、空いた公有地は民間への売却などを検討する計画が急浮上した。性急な地域計画に対し、もっと意見を集めて要望を取り入れるように住民が求め、計画がいったん白紙に戻り再検討することになった。
住民がただ反対運動をしたり、行政と対決したりするのではなく、お互いに納得しながら望ましい手順で、望ましいまちづくりをしていくにはどうしたらいいか。相模原市での活動の中心となった同市市議会の五十嵐千代議員に、Public dots & Company代表取締役の伊藤大貴氏がインタビューした。(JBpress)
※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「鹿沼公園の官民連携事業に見る、これからのコミュニケーションデザインのあり方」を再構成したものです。
(株式会社Public dots & Company 伊藤大貴)
――まず地域計画がどういうものだったのかを説明していただけますか。
対象となったのは、JR横浜線淵野辺駅から徒歩5分のところにある「鹿沼公園」です。自転車やゴーカートが借りられる“交通公園”であるほか、白鳥もいる大きな池、運動広場、野球場、テニスコートなどもあります。
この公園をpark-PFI*1を使ってエリアを活性化しようというのが「淵野辺駅南口周辺公共施設再整備・地域活性化基本計画(案)」でした。具体的には、淵野辺駅周辺にあるいくつかの公共施設を集約して鹿沼公園の敷地内に建設し、集約化によって空いた公有地は民間への売却などを検討するというものです。
*1 park-PFI(Private Finance Initiative)は、2017年の都市公園法の改正によって創設された制度で、公園内への収益施設の設置を認める代わりに、そこからの収益を公園の維持管理に充てる仕組みのこと。
この話が初めて出たのは2017年3月の議会です。淵野辺駅南口の再整備に関する質問に対して、「民間活力を生かした公共施設の集約、複合化」する場合の建設地が鹿沼公園であることがほぼ決まっているような回答がありました。