中国が早期警戒管制機を導入したことによって、軍種統合の任務遂行やロシアなどとの共同訓練の実施など、その能力が次第に向上しつつあるものと考えられる。

総合力ではまだ日本が一歩リード

 中国は、空中戦闘においてAWACSを要として、システムを使って総合的に戦う作戦能力を逐次向上しつつある。

 当初はKJ-200、次にKJ-2000、さらにKJ-500の順で、改良を加えつつ製造してきた。

 AWACSの管制能力は、高レベルの秘密(トップシークレット)であって、詳細は明らかにされていない。

 しかし、3種のAWACS製造と運用の実績を踏んできたこと、敵機の情報処理能力、友軍機の指示能力およびデータリンク能力が向上してきていることからも、日本のE767とほぼ同じ能力までに接近していると考えられる。

 とはいえ、最近では、日米は共同交戦能力CEC(Cooperative Engagement Capability)システムを導入し、戦闘機・艦艇・AWACSのどれかが発信する情報をリアルタイムで共有して、脅威に対し、全体で共同して対処・交戦する能力を保有できるようになった。

 例えば、AWACS、「F-35」、イージス艦が入手した情報をデータリンクや情報処理装置で連結し、最も的確と考えられる兵器により射撃を行うというようなことだ。

 中国はCECシステムを、まだ保有していない。

 現在、近代戦闘機の機数が4倍に及ぶ中国軍に、日本は一歩進んだ空中戦闘システムを使えば勝利できるだろうか。

 将来的には、軍事費を著しく増加させている中国軍に、数的に大きく差をつけられているだろう。その時点で、日本の国土防衛が可能だといえるだろうか。

 特に、日本本土から遠く離れ、中国の沿岸部から近い尖閣を含む南西諸島の防衛は極めて難しくなる。

 南西地域の防衛に、何が必要なのか、どのようにして守るのかを早急に明快な解を得ておく必要があろう。