長老たちが集う「北戴河会議」、今年は開催中止か?

 まず①だが、「5中全会」を10月に開くと、なぜ唐突にこの時期に決め、発表したのか。中国共産党の全体会議というのは、ほぼ一年に1回開いている。だが、昨年10月に開いた「4中全会」(中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議)の日程は、昨年8月30日の中央政治局会議で決定し、同日に発表している。つまり今年は1カ月、発表が早いのである。

 ここからは私の勝手な推測だが、もしかしたら習近平総書記は、8月上旬の「北戴河会議」を蹴飛ばすと宣言したのではないか。「皆で集まると新型コロナウイルスの感染リスクがある」とか理由をつけて、開催を中止してしまうのである。

 北戴河会議とは、8月上旬に3日間、河北省北戴河で開く、中国共産党の非公式重要会議だ。なぜ重要会議かと言えば、通常の会議と違って、すでに引退した長老(元党中央政治局常務委員)たちも参加するからである。この世に思い残すことのない80代、90代の長老たちが、「後輩」の習近平総書記に直言するのである。普段、習近平総書記に面従腹背の幹部たちも、この時とばかりに長老の口を借りようと、進言をお膳立てしたりする。

 習近平総書記は、2年前の北戴河会議で、苦い思いをしている。同年3月の全国人民代表大会で、習総書記は憲法を改正して国家主席の任期を撤廃することで、半永久政権の道を開いた。強大な権限を手にしたことで、中国国内では、まるで毛沢東時代のような偶像崇拝運動が起こった。だがそこに、米ドナルド・トランプ政権が、貿易戦争という鉄拳を喰らわせてきた。

 強軍強国を唱える習近平政権は、この時、強気にアメリカとのガチンコ勝負に出たものの、同年7月6日に米中貿易戦争が「開戦」するや、中国経済は大混乱に陥った。中国の経済力はアメリカの3分の2規模なので、いくら世界2位の経済大国とはいえ、世界1位には歯が立たないのである。

 そんな中で開かれた2018年の北戴河会議は、長老たちが大荒れとなった。なぜそんな無謀な戦いを挑むのかというわけだ。結果、習近平総書記への偶像崇拝運動は、尻つぼみになっていったのである。習総書記も同年末、ブエノスアイレスG20の際に、トランプ大統領に詫びを入れるような米中首脳会談を強いられた。

 習総書記からすれば、すべては北戴河会議が「元凶」だった。そこで今年は、この会議をスルーし、「重要なことは自分が主導する5中全会で決める」とアピールしたのではないか。