今年4月21日、中国・武漢市で開かれた就職説明会の様子。40社以上からおよそ1600人の求人情報が提供されたという(写真:新華社/アフロ)

 874万人――。

 中国でこれが、何を意味する数字だかお分かりだろうか? 今月(2020年7月)、中国の大学を卒業した若者の数だ(中国の学制は9月入学、7月卒業)。彼らのうち少なからぬ人々がいま、苦悩の淵に立たされているのである。

当局は大学生のために最大限の就職支援をしていると言うが

 中国に「人社部」(レンシャブ)と呼ばれる中央官庁がある。正式名称は、人力資源・社会保障部と言い、日本の厚生労働省に近い役所だ。この役所が7月21日に記者会見を開き、盧愛紅(Lu Aihong)報道官が、次のように述べた。

「今年の上半期(1月~6月)、全国の都市部の新規就業者数は、564万人に達し、6月の都市部の調査失業率は5.7%だった。

 今年3月20日から6月30日まで、人社部では『百日千万ネット人員募集専用項目行動』を実施した。6月末までで、208万社の職場が2761万回の求職情報を発信した。

 本日、人社部の『就業オンライン』のプラットフォームを、正式に立ち上げて運行させる。これからも求職者のために、すべての過程でネットサービスを継続していく」

 つまり、新型コロナウイルスで景気が急速に悪化する中、求職者への援護射撃をしっかりやってますよということだ。その結果、李克強(Li Keqiang)首相が掲げる今年の新規就業者数は900万人なので、すでに上半期で全年の目標の62%を達成していますと主張している。ちなみにこの報道官は、「愛紅」(紅=中国共産党を愛す)などと親に名前を付けられただけあって、共産党政権の報道官にはうってつけに見える。

 続いて、人社部の張瑩(Zhang Ying)就業促進司長(局長)がこう述べた。

「大学卒業生の就業推進の方面で、教育部との情報交換を強化し、各地域でのきめ細かい指導を整備し、サービス登記の(新たな)方式などを開き、いまだ就業が決まっていない卒業生の実名サービスリストを確立させる。卒業生の基本的状況と就業の要求に基づきながら、方針を定めた職業紹介を提供し、職業指導などの就業サービスを行っていく」

 こちらのオバサン(局長)も官僚言葉を羅列して、「私たちは大学卒業生のために日々努力しています」とアピールしたが、その割にはまるで他人事のように聞こえた。かつて北京で中国の官僚相手に仕事していた私から言わせれば、「最もあてにならないタイプ」の女性官僚だ。