さらに、医療崩壊寸前といわれた感染拡大期に、医療を提供する側の自分が感染してしまって、『医療従事者として貢献したかったけれど、できなかった』という忸怩たる思いもあります。

 だからこそ1日でも早く復職したかった。休んでいる間仕事をカバーしてもらい、迷惑をおかけしていたので、少しでも早く復帰したいという気持ちでした。けれど、職場での差別的な扱いで逆に心が折れてしまったんです」

医療従事者や感染者の家族も対象に

 医療施設内での差別については、他にも耳に入ってきています。

・院内クラスターが発生した病院で、最初にPCR検査陽性となった職員が、院長以下から「感染源」と言われた。その後の厚生労働省クラスター対策班の調査で、その職員は別の病気で入院した患者から感染したことが判明したが、院長がそれをアナウンスしないため、いまだに「感染源」と言われている。また、所属長からは、「うちの部から最初に感染者が出て恥ずかしい」と言われた。

・ある病院では、感染した理学療法士が、復職後、「とりあえず有給休暇を全部使って休んで」と言われ、その後は暗に退職を迫られている。

 このような差別は、重い症状や後遺症に苦しんでいる人に、さらなる精神的な苦しみを与えてしまっているのです。誰にでも感染リスクがある、つまり明日はわが身だという前提で、彼らの立場に立って苦しみを想像してほしいと思います。