コロナ禍の中、積み出し港で輸出を待つ自動車(写真:ロイター/アフロ)

インバウンドから始まったドミノ倒し

 新型コロナウイルス問題により、日本経済は急激に縮小しました。最初に影響が表れたのはインバウンドです。2017年以降、月当たり200万人台を維持していた訪日外客数は、今年2月に109万人程度へ急激に減少しました。1月頃から中国で感染が拡大し、海外旅行を控える動きが広がったためです。その後、感染が世界的に拡大し、訪日外客数は3月に19万人程度、4月以降は2000人前後へと桁を変えながら落ち込みました。

 インバウンドの次に影響が表れたのは個人消費です。日本国内でも感染が広がったため、政府は2月下旬に不要不急の外出やイベント開催等の自粛を要請し、小中高の休校措置を表明しました。企業によるテレワーク推進も広がり、働き手すなわち消費者の外出自粛を促しました。

 その結果、3月頃から個人消費が大きく減少しました。外食やレジャーなどサービス消費が縮小したほか、外出機会が少なくなったため衣服や化粧品等の消費も落ち込みました。4月には、政府が緊急事態宣言を発令し、消費者に一層の外出自粛を求め、かつ多くの業種に休業を要請したことで、個人消費は需要と供給の両面で制約を課され、一段と縮小しました。

 輸出も4月に大きく減少しました。緊急事態宣言により、国内工場の稼働が落ちた影響が表れたとみられますが、製品別でみれば自動車輸出の落ち込みが突出しています。米国や欧州で都市封鎖が実施されたため自動車の需要が急激に縮小し、それに対応して国内の自動車メーカーが相次いで大規模な減産に踏み切ったためです。輸出は5月も縮小が続きました。自動車関連だけでなく、機械関連が落ち込み始めたのです。海外企業が設備投資を手控えた影響が表れたとみられます。

 以上の経緯をまとめると、新型コロナウイルス問題の日本経済への影響は、「2月インバウンド→3月個人消費(外出自粛)→4月個人消費(緊急事態宣言)、輸出(自動車関連)→5月輸出(機械関連)」という順番で波及していることが分かります。

 それでは、5月時点で各景気指標はどの程度落ち込んだでしょうか?