課題2:コロナ後のニューノーマルへの対応
ソーシャルディスタンスに代表される数多くの社会規範の変化は、企業活動も制限します。今後は、ニューノーマルと呼ばれる新しい生活様式にいち早く順応し、新型コロナウイルス感染拡大の第二波、第三波の対応に備えることが大切です。仮に第二、第三の「外出制限」が始まった際、全社でどういう働き方をするか想定できていますか。
企業活動を継続するには、テレワークを中心とした働き方を選択せざるを得ないでしょう。テレワークは、外出の影響を最小限にとどめるため、ビジネスを止めない数少ない有力な一手なのです。
テレワークによる働き方の実現に向けては、「IT・業務の仕組み」と「人材管理の仕組み」の双方の整備がまず必要になります。IT・業務の仕組みの整備とは、ノートPCやネットワークといったITの環境を構築したり、紙や押印がなくても業務が回る仕組みを作ったりすること。一方、人材管理の仕組みの整備とは、テレワーク下でのマネジメントの在り方、評価の仕方、労働時間管理などの見直しを意味します。
ただ、整備にはコストもかかるため、「そんな、来るか来ないか分からない第二波、第三波に対して、それほど警戒しても投資対効果が悪いのでは」という声も準備の段階で聞こえてきそうです。しかし、このようなIT・業務の仕組みの整備は、不確定な未来のための備えとも言い切れなくなってきました。一つ興味深い動きをご紹介しましょう。
機関投資家の中には、投資先に対して外出制限がかかっても経営を維持できるよう、業務のデジタル化を求めているケースもあります。投資先の対応が遅い場合、株主総会の議案に反対する可能性を検討しているそうです。もちろん、これは投資家としてのリスク管理の色彩が強いものでしょう。しかし、理由はそれだけにとどまらないように見えます。
私が思うに外出制限が起きても、平常時と遜色なくビジネスを回せる企業は、平時における経営も無駄が少なく、効率の良い可能性が高いからです。平時で無駄なプロセスや非効率が企業に温存されていれば、対面以上に協働やコミュニケーションの制約が出るテレワークに移行することは難しいでしょう。
コロナ後のニューノーマルにおいては、オフィスワークとテレワークの併用による働き方のモデル作りがポイントと言えます。有事の際は自社の事業継続に備えることができ、組織のパフォーマンス向上への投資にもなるのです。