暴走に見える北朝鮮の後ろに・・・
韓国の脱北者団体が金正恩体制を非難するビラを北へ向けて飛ばし、韓国政府がこれを容認してきたことに対し、6月16日に北朝鮮当局は南北共同連絡事務所を爆破し強硬な姿勢を示した。
これに続き、開城(ケソン)と金剛山(クムガンサン)に軍部隊を展開する意図を明らかにしている。
いずれも南北融和の象徴となる場所である。北朝鮮は韓国へ報復としてビラ1200万枚(歴代最大規模)を報復として韓国に散布するという。
北朝鮮・金与正氏は、なぜ突然このような暴走を始めたのだろうか。
筆者はすでに、6.16(火)「金与正の靴底を舐める韓国・文在寅大統領 “女帝”の強い意思表示に見て取れる『政権移譲』」という記事(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60916)で、北朝鮮の暴走の理由を以下のように説明した。
①金正恩氏は「死んでいるか」「統治能力を失ったか」、あるいは「統治能力を失いつつある状態」ではないのか。
このところ、妹の金与正氏の出番が増え、初の女帝統治に向け着々と地固めを進めている感がある。
②金王朝にとっての至高の目的・目標は「金王朝の存続」である。4月15日に行われた韓国の総選挙で脱北者の太永浩(テ・ヨンホ)氏――元英国の公使――が保守党から当選し、脱北者団体が金王朝を脅かす可能性が出てきた。
左翼政権の凍土の中から出た「自由の芽」は韓国内外の脱北者などの力を糾合し、「打倒金正恩・与正」の起爆剤になる可能性がある。
脱北者団体は、すでに暗殺した長兄・金正男氏の長子の漢率氏(ハンソル、25歳)――正恩にとっては「脇芽」――を担ぐかもしれない。
③金正恩氏から与正氏に政権継承する際に、再び「先軍政治」を採用する可能性があり、統帥権を北朝鮮軍総参謀部に委譲するのは異常だ(軍暴走の恐れ)。