6月11日、この日発売の週刊文春で「前田ハウス」なる存在まで報じられ、参議院予算委員会で答弁する前田泰宏中小企業庁長官(写真:つのだよしお/アフロ)

(政策コンサルタント:原 英史)

 持続化給付金が終盤国会の焦点のひとつだ。「幽霊法人」「トンネル会社」「中抜き」などに続き、11日発売の文春砲では「前田ハウス」なる「癒着」疑惑も出てきた。

 だが、「癒着」に関しては、記事をみる限り、不正や公務員倫理法違反は明らかでなく、文春砲にしては詰めが甘い。「中抜き」疑惑もよくわからない。役所の業務委託の場合、「〇億円渡すから適当にやって」ということはなく、事後的に何にお金をつかったかチェックする。報道や国会質問では、769億円の委託費を関係者で山分けしたかのような指摘もあるが、そうしたことは普通起きない。

 何か怪しいというだけの疑惑追及は、有害無益だ。事実無根の疑惑追及を昨年の国会でさんざん受けた経験上、強くそう思う。

 ただ、本件には問題がある。今回露呈した業務委託の構造は、不明瞭で理解しづらい。

・実質的には“電通コンソーシアム”として受託するのに、なぜサービスデザイン協議会なる団体が元請けになるのか。

・再委託・再々委託を多層的に行い過ぎていないか。結果として、役所のチェックが及ばなくなっていないか。

 こうした点は、さらに検証し、改善につなげるべきだ。

突出して少ない日本の公務員

 なぜこんな不明瞭な業務委託がなされたのか。問題の淵源としてまず、日本の公務員の数が極めて少ないことを認識しておく必要がある。雇用全体に占める公的部門(国、地方など)の比率は、OECD平均17.7%に対し、日本は5.9%(2017年)。先進諸国の中では突出して少ない。

2007年、2009年、2017年の総雇用に占める一般政府の雇用の割合(出典)OECD,”Government at a Glance 2019”
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