ただし、北朝鮮への制裁は、北朝鮮が核ミサイル開発を強行していることに対する制裁である。
文政権は「金正恩氏の非核化の意思」を国際社会に宣伝し、米朝間の首脳会談を実現させた。
しかし、金正恩氏は直接「非核化は永遠にないだろう」と述べ、先日も「核戦争抑止力強化」を公言。「南朝鮮への警告」として核搭載用のミサイルを10回以上発射した。
それにも拘わらず、文政権は抗議どころか総選挙で圧勝すると、鉄道連結や観光開発といった北朝鮮支援事業を次々と発表した。天安艦撃沈を受けての5・24制裁も「実効性が失われた」として、かつての北朝鮮の挑発に免罪符を与えた。
北朝鮮は韓国のこのような対応を見て、「文政権では何ら対抗措置を取らない」と甘く見て、次々に強硬措置を取り挑発行動を起こし続けるだろうし、それは「国連制裁を解除しろ」という主張が通るまで続くだろう。ただ仮に制裁解除があるとしても、その時期は米国の大統領選挙以降になるのではあるまいか。
必要なのは毅然たる対応
韓国政府は北朝鮮の恫喝にすぐひれ伏すのではなく、こうした北の意図をよくよく分析し、対応措置を取っていく以外にないのだ。その対応措置とは、北朝鮮の核ミサイル開発、挑発行動に対するさらなる制裁措置である。
韓国の与党議員の一人でさえこう述べた。「ビラが来て興奮する前にやるべきことがある」「紙切れ何枚かで体制が揺らぐのであれば、少し反省すべきだ」。こちらの方が、青瓦台よりよほどまともな感覚と言える。
北朝鮮が強硬姿勢を示す背景は、北朝鮮の体制がますます脆弱になっているということである。北朝鮮の脅迫にじたばたするのではなく、北朝鮮が挑発してきた場合これを撃退できる準備をし、北朝鮮には毅然と核ミサイル開発の放棄を求めていくのが正しい道である。