北朝鮮の次なる手

 朝鮮日報は、北朝鮮の次なる一手について次のように報じている。

 金正恩委員長は昨年10月、金剛山を訪問し、「南側が建てた施設をすべて撤去すべき」「管理されず、みすぼらしい」と述べた。これを受け、北朝鮮は昨年末、韓国政府に通知文を送り、一定の期間中に撤去しないならば「ある種の措置を取る」と予告した。韓国の現代峨山などが所有する海上ホテルと便宜施設などについて、峨山政策研究院の車斗鉉(チャ・ドゥヒョン)研究委員は「爆破で衝撃を与える可能性も排除できない」との恐ろしい予測を述べている。

 また同紙は、開城工業地区に関連しては、施設を取り壊して中国に売ったり賃貸したりする形で韓国の存在感を消そうとするかもしれないとも解説する。

 軍事合意の破棄は、今後の軍事的挑発の責任を負わないとの予告とも思われる。北朝鮮は、韓国海軍の哨戒艦天安を撃沈し、延坪島(ヨンピョンド)を先制攻撃したことがある。北朝鮮の警告が、韓国の予想していない行動に結び付く可能性もある。

北朝鮮挑発の背景について韓国専門家の分析

 北朝鮮の挑発の背景について、韓国では様々な分析がなされている。

 韓国国立外交院の金峻亨(キム・ジュンヒョン)院長は、「(ビラ散布は)影響を及ぼしたが、根本的問題ではない」「(北には)基本的に『自力更生に進む』という考えがあった」「韓国と米国に対する不満がたまり、名分を探していたところ、ビラが起爆剤になった」「北には余裕がない、直ちに経済崩壊や経済危機を迎えるわけではないが、時間が経つほど苦しくなるだろう。・・・コロナ状況まで重なり北朝鮮には打つ手はない」。しかし、「米大統領選挙まではこのように過ごすのではないか」という見方を示している。

 また、元安全保障官庁関係者や北朝鮮専門家は、「北朝鮮に対するビラは口実に過ぎず、北朝鮮は経済難など内部の不満を抑えるため、意図的に『南朝鮮たたき』を行っている」と見ている。

 尹徳敏(ユン・ドクミン)元外交院長は「ハノイディール」以降、韓国に対し募った不満や不信感が爆発している、との見方を示している。

 南成旭(ナム・ソンウク)高麗大学教授は「北朝鮮としては、対北制裁を無効化させることが急務だ。韓国をたたくのは制裁の弱い部分を突き破って出てこいという注文だ」と述べた。