米ウォールストリート・ジャーナルや米ザ・バージによると、米アマゾン・ドット・コムのEC(電子商取引)サイトで出品業者が医療用マスクと称し、通常価格の18倍で販売したとして、メーカーの米スリーエム(3M)がカリフォルニア州の裁判所に提訴した。
いまだ横行する偽造品と便乗値上げ
3Mによると、飛沫などの微粒子を95%遮るというN95規格のマスクは、米疾病対策センター(CDC)が医療現場の感染症対策に有効だとして、着用を推奨している。
同規格マスクの大手メーカーである3Mでは、一般小売価格を約1.25ドル(約135円)として出荷している。
ところが、このアマゾンの出品業者は、3M製品と称して1個平均23.21ドル(約2500円)で販売。これまでに35万ドル(約3800万円)を売り上げたという。
この業者はアマゾンで複数のアカウントを使い分け、3Mの商標をつけたマスクを販売していた。しかし、ザ・バージによると、製品には欠陥と見られるものが混ざっており、購入者は偽物と疑っていたという。
アマゾンのカスタマートラスト部門担当バイスプレジデントのダーメッシュ・メータ氏は、「3Mと協力し偽造品や価格つり上げの排除に取り組んでいる」と述べたという。
3Mはこうした訴訟について、低品質製品のまん延を食い止め、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた価格つり上げを阻止し、自社のブランドを守るための戦略と説明している。同社はこの数カ月間、十数のマスク販売業者を相手取り訴訟を提起したという。