この日2時間半に及ぶ法務委員会を傍聴された「クルマ社会を問い直す会」の共同代表・足立礼子氏はこう語ります。
「7名の議員は、理不尽な交通裁判の現状や被害者遺族の苦しみにも関心を寄せ、この法案の適切な運用と悪質運転をなくすための対策について、参考人に熱心な質問をされていました。その質疑から、ドライブレコーダーの使用による客観的な事故検証や交通教育の見直しの重要性など、さまざまな課題が浮き彫りになりました。今回出された意義ある問題提起をぜひ事故抑止の対策につなげてほしいと思います」
当日のやり取りは、すべて参議院の国会サイト(https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=5842)に映像として記録されており、法務委員会に属する各議員の質疑と、参考人の答弁もすべて視聴することができますので、ぜひご覧いただければと思います。
客観的証拠「ドライブレコーダー」の必要性
一方、厳罰化が進む中、「冤罪」を心配する声も上がっています。「あおり運転」に対する世間の関心が高まる今、危険回避のためのとっさの車線変更や急停止、また突然の発作など、ドライバー本人に悪気のない行為までもが「あおり運転」と誤認される場合があるかもしれないからです。
この問題についても、6月2日に行われた参考人質疑で議論となったのですが、加害者の「あおり行為」を立証するためだけでなく、万一のときにわが身の潔白を証明するためにも、ドライブレコーダーの装着は必須です。映像さえ残っていれば、その瞬間を立証することができるのです。
ちなみに、上記参考人質疑の中の小野田紀美議員(自民党・国民の声)とのやり取りの中に、岡山県警の画期的な取り組み、「岡山県あおり110番鬼退治ボックス」の話題が出てきます。これは市民から、危険運転・あおり運転に関する情報提供を呼びかけるもので、特にドライブレコーダーなどによる映像情報を募っています。
下記のニュースにもある通り、この「鬼退治ボックス」には、半年で574件の情報提供が寄せられたそうです。
『岡山県警「あおり110番」開設半年 摘発13人、情報提供は574件』(2020.6.2/山陽新聞digital)
https://www.sanyonews.jp/article/1017909
大事故が発生してからでは遅すぎます。その前に、危険なドライバーを“退治”しておくことはなにより大切だと思います。
今回の法改正による一連の厳罰化、そしてドライブレコーダーや防犯カメラによる監視の目が、悪質な「あおり運転」の抑止につながることを期待するばかりです。