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(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

あおり運転に厳罰課す法整備を

 度し難いあおり運転が後を絶たない。高速道路上で嫌がらせの急ブレーキや蛇行運転、停車などというのは、大惨事を意図的に引き起こそうとする犯罪的行為である。

 2年前に、東名高速で家族4人が乗った車が追い越し車線で無理矢理停止させられ、降りたところに後続車が追突し、子供の目の前で夫婦2人が死亡するという痛ましい事件が起きた。

 この事件で弁護側は、「停車後に発生した事故には適用できない」と無罪を主張した。自動車運転死傷処罰法では、危険運転を「通行中の車に著しく接近し、かつ、重大な危険を生じさせる速度で車を運転する行為」と規定している。それを踏まえての無罪の主張である。馬鹿げた主張だと思うが、法律を文言通り読めばこういう解釈になるということだろう。

 判決では、「被害者の死傷結果は、被告人が妨害運転に及んだことによって生じた事故発生の危険性が現実化したものにすぎず、妨害行為と死傷結果との間には因果関係が認められるので危険運転致死傷罪が成立する」と結論づけ、検察の求刑が懲役23年だったのに対して、18年の判決を言い渡した。

 ただその一方で、「直前停止行為、すなわち、時速ゼロキロメートルで停止すること」が「重大な交通の危険を生じさせる速度で運転する行為」に含まれると読み取ることは、文言の解釈上無理があると判断している。「停止」しているから、「危険な速度での運転ではない」ということだ。

 私のような法律の素人にとっては、危険運転どころか殺人罪を適用してもおかしくないと思うくらいだ。高速道路の追い越し車線で停車するという行為が、後続車が激突する蓋然性を高めることは、どんな愚か者でも分かることだからだ。しかもこの事件では、追い越し車線をふさいで無理矢理停車させたのだ。どこからみても意図的に事故を起こさせようとしたのだ。これを裁けないというのは、法律の重大な欠陥というしかない。