あおり運転をするのは卑怯者

 あおり運転について、素朴に思うことがある。あおろうとしている相手がどう見ても自分より強そうだったらどうするのだろうと。東名高速であおり運転をし、家族4人を死傷させた石橋和歩被告も、子供の時分はいじめられっ子だったという。

 それがハンドルを握り、隣に女性を乗せると気が大きくなり、“いいところを見せよう”と思って(まったくみっともない行為だが)、あおり運転を繰り返していたのだろう。でも、あおった相手の方が強くて、返り討ちにあったのでは、格好悪いことこの上もない。

 最近のニュースでこんな場面を見た。中国で車が乗客がいっぱいのバスをあおったあげく、そのバスに追突される。激高したドライバーが車を降りてバスに近づくと、怒ったバスの乗客数人に取り囲まれ、袋叩きにされるという場面だ。

 こうならないためにどうするか。自分より弱そうな人間を探すのである。弱くて情けない人間が行う卑劣な行為が、あおり運転なのだ。本当に強い人間は、こんな卑劣なことはしない。

 常磐自動車道で「あおり暴行事件」を引き起こした宮崎文夫容疑者もそうだ。あれだけの大口を叩き、殴りつけるという暴行まで働きながら、警察に逮捕されると顔を隠し、背中を曲げてこそこそと歩く姿は、みっともないとしか言いようがない。そして、何よりもみっともないのは、反撃できない人を相手にしてあおり運転で恐怖を与えるという卑劣行為だ。

 同容疑者は、大学を卒業して就職した会社を1年経たずに辞めているが、その際、同僚に「俺はビッグになる」と語っていたそうだ。確かに名前は知れわたったが、日本中から唾棄すべき人間と見なされるようになってしまった。