ニューヨークで講演する米国のジェームス・マティス元国防長官(2019年9月9日、写真:ロイター/アフロ)

 黒人のジョージ・フロイド氏が警察官の暴行を受け死亡した事件に端を発する人種差別抗議デモは、ドナルド・トランプ大統領と米国の将軍たち(退役した将軍を中心に一部現役の将軍を含む)の対立を鮮明にした。

 国軍の最高司令官である大統領と将軍たちの対立は、政軍関係のあるべき姿、多民族国家である米国における分断の深刻さ、軍隊内における人種差別の問題などを改めて提起している。

 そして、この対立は11月の大統領選挙に少なからざる影響を与えることになろう。

 トランプ氏を批判している将軍たちは、ジェームズ・マティス前国防長官(元海兵隊大将)、ジョン・ケリー元大統領首席補佐官(元海兵隊大将)、ジョン・アレン元海兵隊大将、マイク・アレン元統合参謀本部議長(元海軍大将)、リチャード・マイヤーズ元統合参謀本部議長(元空軍大将)、マーチン・デンプシー元統合参謀本部議長(元陸軍大将)ら多数にのぼる。

 特に目立つのがマティス前国防長官だ。

 彼は、トランプ大統領のシリア政策に抗議して2018年12月に国防長官を辞任したが、それ以来注意深く沈黙を守ってきた。

 しかし、彼は次のようにデモに関する大統領の言動に対して異例の厳しさで非難している。

「ドナルド・トランプは、米国民を団結させようとしない、団結しようとするふりさえしない、私の人生で初めての大統領だ」

「彼は私たちを分断しようとしている。私たちは、成熟したリーダーシップのない3年間の結果を目撃している」