おわりに

 これまで、日本は宇宙空間の安全保障の側面を強く認識してこなかったが、既に、宇宙空間は各国の軍事作戦と一体となっている。

「日米防衛協力のための指針(2015年)」において、「各々の宇宙システムが脅威にさらされた場合、自衛隊及び米軍は、適切なときには、危険の軽減及び被害の回避において協力する。被害が発生した場合、自衛隊及び米軍は、適切なときは、関係能力の再構築において協力する」と述べている。

 米国から、米国の衛星が故障した際に、日本の衛星が機能を代替することを要求してくるかもしれない。これらの法的問題も検討しておかなければならない。

 さて、これまでは、米戦略軍とJAXAの間で情報の共有がなされてきたが、将来、自衛隊の「宇宙作戦隊」が本格的な運用を開始した場合の、宇宙における日米の協力体制の見直しが必要になるであろう。

 一案としては、自衛隊が日本側の代表として、米戦略軍との間で情報を共有し、安全保障に関連する活動について調整・実行し、JAXAは、「宇宙の状況監視や平和利用等」について自衛隊との緊密な連携のもと活動するといった方策も考えられる。

 早急に、国家としての基本方針を検討すべきである。