平壌にある錦繍山太陽宮殿(Wikipediaより)

(朴 承珉:在ソウルジャーナリスト)

「金正恩(キム・ジョンウン)委員長が倒れた。ミサイル発射現場での事故ではないか」

 最近、このような観測が出ている。 

 北朝鮮では、4月15日は国の最大の祝日だ。建国の指導者・金日成(キム・イルソン)主席を太陽にたとえ、金主席の誕生日であるこの日を「太陽節」と呼ぶ。太陽節には毎年、金正恩朝鮮労働党委員長をはじめ党・軍・政など重要幹部が、金日成主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に並んで参拝する。ところが、今年の太陽節には金委員長は参拝しなかった。高官らを統率し、錦繍山太陽宮殿を参拝したのは崔竜海(チェ・リョンヘ)副委員長だった。

なぜ金正恩は錦繍山太陽宮殿参拝に姿を見せなかったか

 これは極めて異例のことだ。金正恩委員長は、髪型や、帽子や服など身に着けるものなど、徹底して金日成主席の真似をしている。その上、自身の体重まで増やして体型まで似せようとしている。それもこれも金日成主席の威光にあやかるためだ。祖父・父の遺訓による統治、特に金日成主席の遺訓統治を続けている金正恩委員長が、最大の祝日である祖父の誕生日に錦繍山太陽宮殿を参拝しないというのはあり得ないことなのだ。

 また参拝は、北朝鮮住民に「白頭血統」(金一族の血筋)の偉大さを再認識させるためにも重要な行事なのだ。

 それほど太陽節の意味が大きい。そのため金委員長の不参拝について、「倒れた」とか「事故に遭った」などの身辺異常説が出ている。金委員長は、4月11日の労働党中央委員会政治局会議以降、14日の巡航ミサイル発射現場はもちろん、その後に公の場に姿を現れていないのだ。