中国・上海の市街地。不動産取引が息を吹き返しているのはなぜか

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 新型コロナウイルスが世界経済に大打撃を与えている。まさに撃沈と言ってもよい。だが、中国・上海では不動産取引が息を吹き返している。

 もともと上海の不動産価格を押し上げてきたのは、外省からの人の流入や、外国からの投資がもたらす住宅需要だった。上海ではまだ人の移動に制限がかかっている。それにもかかわらず住宅取引に動きが出始めているのはなぜか。上海の住宅市場には一体どんな資金が入り込んでいるのだろうか。

上海の住宅市場がなぜか回復

 2020年第1四半期、新型コロナの拡散とともに、中国全土の住宅取引は大きく落ち込んだ。上海の住宅取引は激減し、2019年12月に5852戸だった新築分譲住宅戸数は2020年1月には4222戸、2月には前月比で約76%減の985戸にまで落ち込んだ(「房天下」調べ)。

 だが、3月に入ると状況は変わる。2020年第13週の上海における新築の分譲住宅は1120戸まで回復した。