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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京や大阪などの大都市では外出自粛が求められ在宅勤務に移行する人が増加している。さらなる感染拡大と医療崩壊を防ぐために必要な措置だが、外出の自粛が長引くことで別の問題が浮上しつつある。不眠症や鬱などの健康問題だ。長期化もささやかれる巣ごもり生活の影響を専門家に聞いた。(聞き手、結城カオル)

日光を浴びないでいると何が起きるか

──新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、外出を控える人が増えています。やむを得ない状況ですが、健康に悪影響がでる場合も考えられます。実際に、どのようなことが考えられるでしょうか。

近藤慎太郎氏(以下、敬称略) 健康への影響は肉体的なものと、メンタル的なものが考えられます。その中でも、今後、多くの人に影響が出ると思われるのが「不眠」の問題です。

 人によって多少の差はありますが、人間の覚醒のリズムは24時間と少しと言われています。それなのに、24時間に適応できているのは、朝に太陽光を浴びて体内時計をリセットしたり、通勤・通学時間が決まっているなど社会的な制約があったりするからです。

 ところが、在宅勤務やレイオフによって自宅で過ごす時間が増えると、朝の通勤時に浴びていた日光を浴びなくなる、決まった時間に出社する必要がなくなるなど、24時間のリズムが崩れ、どんどん睡眠が後ろにずれていってしまいます。

近藤 慎太郎(こんどう・しんたろう)氏
 医師兼マンガ家。近藤しんたろうクリニック院長。日赤医療センター、亀田総合病院などで勤務。  北海道大学医学部、東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部付属病院を経て、山王メディカルセンター内視鏡室長、クリントエグゼクリニック院長などを歴任。消化器の専門医として、これまで数多くのがん患者を診療。年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手がける。  診療を行っていく中で、医療についての情報が世の中に正しく伝わっていないことを痛感し、講演や各種メディアを通じて啓蒙活動をおこなっている。特技はマンガで、解説マンガも著者が自ら描いている

──子どもの学校がないということもありますが、在宅勤務を始めてから起きる時間が少しずつ遅くなっています。