3月中旬以降にワシントンの外交雑誌に掲載された2つの論文も、イタリアでの感染症爆発をイタリアと中国の密接な提携や交流に結びつけていた。2つの論文とは、ワシントンの研究機関のウッドローウィルソン国際学術センターのマーシー・クオ研究員による「コロナウイルスがイタリアを襲う・中国との絆の実験」と、ベルギー・ブリュッセルの研究機関「ロシア欧州アジア研究センター」のテレサ・ファロン所長による「中国、イタリア、そしてコロナウイルス・地政学とプロパガンダ」という論文である。両論文はともに、イタリアが2019年3月に中国のインフラ建設構想「一帯一路」に正式に参加したことに象徴される密接な経済提携を強調していた。

 中国は以前からイタリアの服飾産業や、「インテル・ミラノ」「ACミラン」といった有名サッカークラブ、高級ヨット製造企業など、幅広い分野への投資、経営参加を進めていた。一方、イタリア側も「グッチ」などをはじめとする高級ブランドが中国での下請け製造を委託するなど、緊密な経済提携を広げてきた。

 イタリアは近年の不況、失業増大、財政危機などに直面すると、中国との貿易や投資をさらに拡大する道を選び、2015年には中国主導の「アジア・インフラ投資銀行(AIIB)」に加わった。また2019年には「一帯一路」にも、唯一のG7(主要7カ国)構成国として参加した。イタリアが一帯一路構想に参加すると、中国はイタリア北部の港湾建設、宇宙航空技術、交通、環境、エネルギーなどのインフラ分野への巨額の資金投入を開始した。

 2つの論文は、こうしたイタリア・中国の経済関係の深化が両国民の活発な交流につながり、新型コロナウイルス感染の温床になったと指摘していた。

「一帯一路」にG7から唯一参加

 この点について、より具体的な報告をしたのは、ニューヨークに本社をおく政治外交ネットメディア「フェデラリスト」(The Federalist)に3月17日に掲載された「イランとイタリアは共産主義の中国との緊密な絆のために莫大な代償を払う」と題する論考だった。