ローリー氏はこうした諸点を指摘して、両国の密接なつながりはイタリア経済の改善には寄与せず、結果として武漢発の新型コロナウイルスのイタリアでの爆発的な拡大の温床になったと述べていた。そのうえで「今回の悲劇の原因は、結局はイタリアの政治指導者たちの近視眼的で愚かな決定だった」と辛辣に総括していた。

中国への過剰な配慮から防疫措置をとらず

 イタリアと中国の経済的な絆がウイルス感染の拡大に直結したと断じる分析は、やや無理があるかもしれない。だが、米国のウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどは、イタリアの指導層が中国との関係を重視しすぎてウイルス感染防止のための防疫措置をとらなかったことを、現地から報告している。

 それは以下のような事例である。

・1月後半、ロンバルディア州に定住していた多数の中国人家族が春節前後に中国の湖北省などに一時帰国して、その後、また同州に戻ってきた。その際、イタリアの保守系野党からは「一時、隔離すべきだ」という意見が出たが、コンテ首相は中国との関係悪化や人種差別への懸念を理由に応じなかった。

・1月下旬、中国から文化・観光の大規模な訪問団がイタリアを訪れた。コンテ政権は訪問団をローマ市内のサンタチェリーニ国立アカデミー管弦楽団のコンサートに招き、パーティーでは両国の多数の代表が飲食をともにした。その後、イタリアでは、防疫の観点からリスクの高い軽率な交流だったとする批判が出た。

 以上の2件について、イタリア政府の保健省のサンドラ・ザンパ次官は、ニューヨーク・タイムズ記者に「いずれも中国側への過剰な配慮からの間違った対応だった」と述べていた。

 イタリア側がこうした態度をとるのは、中国との特別な結びつきがあるからである。つまり、自国の経済を救済してくれる中国との関係悪化を恐れて、新型コロナの感染防止対策をためらったといえそうだ。