韓国から資金流出が起きるのは、短期対外債務(1年以内に満期が到来する債務)比率が約34%と2015年以降で最も高い水準にあるためだ。1997年の通貨危機当時も短期対外債務の割合が上がり、日系資金の流出が始まり、その後多くの外国人投資家が一気に資金を回収し韓国の通貨危機が始まった。

 世宗大学経営学部の金デジョン教授は、「新型肺炎で世界的なドル不足、韓日と韓米の通貨スワップ拒否、韓国の短期対外債務比率上昇、75%と高い貿易依存度そして新興国のデフォルトなど国際金融市場の不確実性が増している。最も重要なのは日米との通貨スワップの締結だ」と述べている。

 日韓通貨スワップ協定については、よく知られているように2015年2月に期限が終了した。延長するという選択肢もあったが、日本からは積極的に働きかけなかったし、当時経済状況が良かった韓国側は「延長しなくても、悪影響はない」としていた。こうして日韓間の通貨スワップは終了したが、万が一の時のためのセーフティーガードとしてあるに越したことはない。そのため再締結を模索する動きもあったが、2017年1月、韓国の市民団体が釜山の日本領事館前に慰安婦像を設置したことを受け、菅義偉官房長官は通貨スワップ協定に向けた協議の打ち切りなどを決定。現在も、その状態が続いている。

新型コロナの世界的蔓延が韓国経済に与える激震

 韓国国内を見れば、新型コロナウイルへの感染者は減少してきているが、経済状況はこれから深刻な状況に陥ることになるだろう。その大きな原因は世界的な感染拡大に伴う、各国政府の国境封鎖、移動制限、商店の閉鎖といった新型コロナ封じ込め政策である。こうした「シャットダウン」の余波で米国と欧州の日常生活と経済活動はマヒしている。

 韓国はその影響をもろに受けることになる。韓国の産業界は、サムスン電子や現代自動車など主要企業の売り上げの半分以上が米国と欧州であるだけに、業績が大きな打撃を受けると懸念されているのだ。

 たとえば世界の1-3月期テレビ販売台数が昨年より87%減ると予想されている。第5世代(5G)とともに成長が予想されたスマートフォン市場も1-3月期の販売台数が昨年より26.6%減ると予想されている。また現代自動車の中国での売り上げは先月97.4%減となった。

 原油価格の急落で、1-2月の世界造船受注は昨年より76%急減。中東地域の建設事業でも工事代金の回収後れや受注取り消しの可能性が高まっている。国際原油価格急落により、今後、中東やロシアなどの産油国への輸出も急減する可能性が高い。観光などサービス収入なども大きな打撃を受けている。輸出企業では「積み出す船も貨物もない」という状況という。中小規模の船会社は厳しい経営事情の中で運賃までが大きく下落し、倒産危機に追い込まれている。

 こうした状況を受け、大手企業の収益は急激に悪化している。1-3月期の営業利益予想値は、SKが-40%、ロッテが-37%、ポスコが-26%、LGが-25%などという惨状だ。