IMF危機が東南アジアの国々に広がった1997年7月、韓国政府は当初「ファンダメンタルズ(基礎体力)は大丈夫だ」として、安穏と構えていた。当時の経済成長率は直前まで年8%台に達していたのだ。しかし、「輸出主導経済」である韓国で同年上半期の経常収支が92億ドルの赤字であることを確認した外国人投資家は「韓国は危険」と判断、資金の回収に乗り出したため、外為市場と証券市場が一気に大揺れとなり、大企業が相次いで倒産した。

IMF危機当時より悪い韓国経済の状況

 現在の韓国経済の状況は、文在寅政権の経済政策の失敗のお陰で、1997年のIMF危機当時より深刻と言える。

 まず昨年の韓国のGDP成長率は2.0%と辛うじて2%台を維持したが、これは60年代後半の「漢江の奇跡」以降、世界経済危機の時を除き最低水準だった。しかもこの2%のうち公的部門の貢献は1.5%であり、民間部門の貢献は0.5%とほぼ横ばい状態なのである。

 そもそもこのような経済状況下にあったのに、今回の新型コロナによる世界的な混乱により、韓国の経常収支は急激に悪化している。これは、経常黒字のうち最も大きな割合を占める貿易黒字が減少しているためだ。産業通商資源部によると先月の1日平均輸出額は18億3000万ドルで、前年比11.7%も急減した。この衝撃は今後さらに大きくなる可能性が大きい。

経常収支の悪化が外為市場を直撃

 3月17日のウォン相場は、前日より17.50ウォン安ドル高となる1ドル=1243.50ウォンで取引を終えた。それまで4取引日連続でウォンが下落した。1240ウォン台を記録したのは約10年ぶりだ。外国人の株式売りに伴うドル送金、新興国の通貨安などが影響したものだ。韓国ウォンが1200ドルを割り込むと下落に歯止めが利かなくなる恐れがあると言われている。