卒論に関する質疑と答弁は都議会のサイトで見ることが出来る。
東京都議会のトップページ(https://www.gikai.metro.tokyo.jp/)から「インターネット中継」⇒「本会議など」⇒「録画映像」の中から「令和2年第1回定例会」をクリック⇒「3月12日(木曜日) 予算特別委員会 総括質疑」をクリック。
6時間11分39秒から6時間12分29秒までが問題のシーンだ。
卒業証書類の公開を拒否し、ひたすら逃げ回る小池都知事
答弁を聞いていてもう一つ唖然となったのは、小池氏が都議会に対する卒業証書類の開示を頑なに拒否したことだ。自らはカイロ大学を卒業したと称しながら、その関係書類を開示しないというのだ。これにも「はぁ~?」である。
田村議員に先立って質疑に立った川松真一朗議員が「小池知事は、卒業証書、卒業証明書はこれまで何度も公表してきたと述べているが、公の場に出したことは一度もないと記憶している。(パネルでフジテレビの番組のスクリーンショットを示しながら)選挙の際にチラ見せしたときの画像はこれで、週刊誌に載せたものは小さすぎて読めない。『振り袖、ピラミッドを登る』という本の卒業証書は全身写真とコラージュされていて、下半分が読めない。現物をなぜ都議会や記者会見という公式の場に出せないのか?」と質問したのに対し、小池氏は「公には何度も(卒業証書類)を出している。また(パネルを指して)あれだけのショットがあるのは、すでに出しているからこそだ。(これに関して)やれスタンプだとか色々議論されているが、これについてはカイロ大学が何度も正式な卒業を認めている」と公開を拒否した。
同様のやり取りは、最後に質問に立った田村議員との間でも繰り返され、小池氏は議会に対する卒業証書類の提出をあらためて拒否した。先ほど紹介した動画では、そのくだりは3時間4分0秒から3時間6分49秒で確認できる。
小池氏の「公には何度も出している」という発言は事実に反する。小池氏が卒業証明書類をある程度見える形で公開したのは、2016年6月30日に放送されたフジテレビの「とくダネ!」での一度だけだ。それも非常に短い時間で、記載内容をきちんと読むことができない。それ以外には、(ある程度でも読める形では)どこにも公開していない。
学校を卒業したと言いながら、卒業証書類を見せないのは、公人・私人を問わず、世界で小池氏ただ一人だろう。私自身、早稲田大学(法学部)やカイロ・アメリカン大学(大学院中東研究科)の卒業を疑われたら、関係書類の現物を直ちに公開する。これは誰しも同じだろう。
小池氏は「カイロ大学が何度も正式な卒業を認めているから、出す必要はない」と述べているが、それと有印私文書偽造・同行使の嫌疑は別だ。後述の通り、小池氏がフジテレビで示した証書類は本物に見えない。第二に、筆者がJBpressの「徹底研究!小池百合子『カイロ大卒』の真偽」(第3回)で述べた通り、カイロ大学は長年にわたって学業実態のない人間に卒業証書を発行してきた大学だ。もし小池氏に学業実態がなければ、仮に大学が卒業を認めたとしても、学位として認められないのは当然だ。金で学位を売っていたハワイのパシフィック・ウエスタン大学と同じである。
(参考記事)徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈3〉
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58857