新型コロナで注目、免疫力を高める食材はあるのか?

「カレーが効く」などの風説を研究結果から検証

2020.03.13(Fri)漆原 次郎

 少なからぬ企業や研究者の間では、カレーを黄色くさせるクルクミン(別名ターメリック、ウコン)に、免疫力を高める効果があるとの見方があるようだ。基礎的な研究では、クルクミンのウイルス活動抑制作用の報告例もある。

 だが、クルクミンの医療的効果に否定的な研究論文もある。米国ミネソタ大学のキャサリン・ネルソン助教らの研究チームは2017年に、クルクミノイド(クルクミンを主要成分とするポリフェノール)のさまざまな病気に対する臨床試験が120以上行われたが、信頼のおける方法で試験が成功した事例はひとつもなかったとする論文を雑誌『ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー』に発表した。そして「生物学的に利用可能ではない」と結論づけている。

 カレーにはクルクミン以外にも、さまざまな香辛料や野菜が含まれる。トウガラシ、クミン、緑黄色野菜やイモ類などだ。だが、これらの食材は、多くの感染者を出した中国でもよく食べられてきた。「インドカレーに予防効果あり」の信憑性はなさそうだ。

中国ではビタミンC投与計画も

「免疫栄養法」とよばれる医療がある。外科手術や集中治療を受けたような患者に対して、免疫の活性化を狙って特定の栄養素を摂取してもらうものだ。前述の抗ウイルス作用があるインターフェロンを増やすことを狙った免疫栄養の研究は、以前からされている。

 ノルウェイの免疫学者ヘレン・ダールらは1976年、北欧の医学雑誌に、試験管内におけるビタミンCのインターフェロン産生作用と抗ウイルス性についての論文を発表した。ビタミンCが、ヒトの胚皮や胚肺線維芽細胞でつくられるインターフェロンのレベルを高めたことなどを報告している。

 ヒト対象の試験でも1999年、米国の個人経営カイロプラクティシャンH・クレイ・ゴートンらが雑誌『ジャーナル・オブ・マニピュレーティブ・アンド・フィジオロジカル・セラピュティクス』で、ビタミンCによる感冒やインフルエンザの軽減効果を発表している。感冒症状のある被験者に1時間ごとに6回、1グラムのビタミンCを投与し、その後は1日3回投与したところ、解熱剤や感冒薬の服用者より風邪やインフルエンザの症状は緩和し、また、無症状の被験者にも予防効果が見られたという。

 一方、2013年にヘルシンキ大学のハリ・ヘミラらが『コクラン・レビュー』に発表した調査では、1万1306人を対象とした29件の試験を比較したところ、ビタミンCを常時摂取しても普通の人では風邪のかかりやすさに差は無いとしている。ただし、わずかではあるが風邪から治りやすくなる効果や、スポーツ選手などで風邪のリスクを下げる効果はあるともしている。

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