河井あんり公式サイトより

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 世の中は新型コロナウイルス問題で混乱のさなかにあります。対応いかんでは政権にダメージを与えそうですが、3日、政権のアキレス腱になるもうひとつの事件に進展がありました。昨年の参院選に立候補して当選した自民党の河井案里議員の選挙運動に関し、自身の公設秘書と、夫であり前法相の河井克行代議士の政策秘書、陣営スタッフの3人が広島地検に逮捕された一件です。

 立件されれば、政権にとって打撃は避けられません。今国会で安倍政権は「桜を見る会」問題に加え、新型コロナウイルス対策が後手に回ったとして追及され、防戦に追われているからです。

どのような疑惑がかかっているのか

 逮捕されたのは、案里氏の公設第二秘書・立道浩容疑者、案里氏の夫である克行氏の政策秘書・高谷真介容疑者ら3人です。買収容疑として、車上運動員(いわゆるウグイス嬢)に法定上限の2倍の報酬を払った疑いが持たれています。

 克行氏は疑惑が報じられた去年10月、法相を辞任。その直後に記者団に対し「報道の件はわたしも妻もまったくあずかり知らないところだが、今後しっかりと調査して『説明責任』を果たしていきたい」と述べています。しかし、その後は「刑事事件として捜査が始まっているので、コメントは控えたい」と、夫妻は多くを語ろうとしませんでした。

 問題となった昨年の参院選では、安倍首相や菅官房長官が案里氏を全面支援しています。克行氏が法相を辞任した当初、安倍首相は自身の任命責任を認める発言をしましたが、肝心の河井夫妻はその後も、体調不良などを理由に国会にも登院せずに雲隠れをしていました。地検が家宅捜査をすると、記者団の前に姿を見せますが、具体的な説明はありませんでした。