(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
新型コロナウイルスの国内の感染拡大によって、3月から一部の自治体を除く全国の小中学校と高校、特別支援学校が休校に入って、社会は混乱している。
経緯を振り返ると、2月25日に専門家会議を経て政府の基本方針を策定。翌26日に開かれた新型コロナウイルス対策会議で、安倍晋三首相が、この1〜2週間が感染拡大防止に極めて重要として、大規模なスポーツや文化イベントなどの今後2週間程度の中止か延期、もしくは規模の縮小を要請する。さらに27日になって、週明け3月2日からの全国一斉の休校を要請した。これには政府内でも慎重論があったというが、首相のいわば政治判断で踏み切った。
ここから、各自治体が対応を巡って混乱する。感染者の出ていない自治体などでは休校の措置をとらないことにしたが、ほぼ全国の自治体ではこれを受け入れる。そうすると、休校となった場合の授業の埋め合わせや卒業式など、どのような対応をとるのか、学校現場が混乱する。さらには、共働きやひとり親家庭は子どもをどこに預けたらいいのか、混乱はさらに深まった。
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この原因は、事前に政府の具体的な支援策も明示されず、現場任せだったことにある。
安倍首相は2月29日に会見に臨み、国民への負担と協力を求めて、こう語っている。
「率直に申し上げて、政府の力だけでこの闘いに勝利を収めることはできません」
「本当に大変な御苦労を国民の皆様にはおかけしますが、改めてお一人お一人の御協力を、深く深くお願いする次第であります。しかし、私たちは必ず乗り越えることができる。そう確信しています」
確かに、ここまで感染が拡大すると、もはや国を挙げての戦いであることは理解できるが、この首相会見を眺めながら、私の脳裏には、あまりに大胆な連想が思い浮かんだ。
これは大戦中のインパール作戦と同じではないのか――。