韓国では、東南部の大邱(テグ)地域を中心に新型コロナウイルスの感染の増加に歯止めがかからない。
経済への影響もあちこちで出始めており、政府は緊急対策に必死だ。在韓日本企業の中には、駐在員の一時帰国などに踏み切る動きも出ている。
2020年2月半ばまでは感染者の増加がほとんどなかった韓国だが、2月21日に100人を超えて以来、感染者増加に歯止めがかからない。
大邱での感染者急増
新規感染者数は、2月26日284人、27日505人、28日571人、29日813人、3月1日586人、2日599人となった。
全国の感染者数は3日零時現在で4812人になった。だが、地域別内訳をみると、大邱3600人、慶尚北道685人で合わせると全体の9割を占める。
新興宗教団体の大規模行事でスーパー感染が起き、家族など関係者の感染者が大半を占めている。
ソウルの感染者数は98人で、そういう意味では、韓国当局の防疫体制が一定の効果を上げているとの見方もある。
「あと1~2週間が分水嶺だ」
韓国政府は、必死の対応に追われている。韓国で顕著なのは、ウイルス検査数の圧倒的な多さだ。韓国メディアによると、1日1万人の検査を実施している。
韓国では2015年に中東呼吸器症候群(MERS)の大量感染を防げなかった。この反省からウイルス検査の体制を整備し、今回は、これが効果を上げている。
ただ、一方で、感染者が大量に出た大邱地域では、病院が満杯になり、重症者が自宅待機している間に死亡する悲劇も起こり、韓国政府は軽症者については別途、経過観察をする体制に移行している。