(15)白頭山地区の革命戦跡地と中央委員会第7期第5回総会(2019年12月)

 左が白頭山地区の革命戦跡地を白馬に乗って訪れた時の顔。

 中と右が昨年12月の中央委員会総会で、「これから世界は、遠からず北朝鮮が保有することになる新しい戦略兵器を目撃することになる」と発言した時の顔だ。

 顔の表情から、強い意志を示しているようだが、穏やかな表情でもある。

 この表情は、早急に水爆実験や新型ICBMを発射して、米国に激しく対抗しようとするものではなく、交渉を望んでいると、読めるのではないだろうか。

北の本音の核戦略を読み解く

 金正恩氏の父の金正日総書記の場合は、サングラスをかけ、あるいは無表情の写真が多かった。

 心理状態を読まれることを好まなかったか、金日成から金正日への政権委譲に、時間をかけることができたので、帝王学を学んで修得したとも考えられる。

 習近平主席やプーチン大統領のように権力闘争で勝ち上がってきたリーダーは、権力闘争の過程の中で、心理状態を読まれないように感情を表わさないことを学んだのだろう。

 金正恩氏には、首領様としてのカリスマ性を醸し出すポーズ、人民に慕われる爽やかな笑顔、金正恩体制転覆を考える者は殺害する威圧的な眼光、外国の大物元首の前では堂々とした態度のポーズなどが見える。

 一方、経験が少ないことから見せまいとしても現れてしまう不安、失敗した時の落胆ぶりなども明らかに見える。

 金正恩氏の場合は、金正日から金正恩への委譲期間が、短く突然だった。独裁国家のトップとして、帝王学を学ぶ時間が十分ではなかった。

 後見人やスタッフたちは、若い金正恩氏を軽々しい首領さまではなく、何とか威厳を持たせ、金日成のようなカリスマ性があるように見せかけている。

 若くて経験が少ないために、ある程度の感情の起伏を押さえることはできようが、心底大喜びしたり、怒りを抑えることができなかったりと、表情に出してしまうようだ。

 米国は、金正恩の心理状態をその表情からつかみ、北の本音の戦略を読んでいたはずだ。

 金正恩氏は、今後の米国との交渉においては、非核化を信じ込ませる爽やかな笑顔などいろいろな表情を示すだろう。

 だが、自分の座を狙うものを殺害してきたあの怒りの眼光を忘れてはいけない。