先頃、日本にある3つの半導体工場のうち2つが東日本大震災の影響で損傷が発生したと報告していた米テキサス・インスツルメンツ(TI)が18日、1~3月期の決算を発表し、震災の業績への影響について初めて明らかにした。
3000万ドルの費用発生、売り上げ減は2000万ドル
それによると、1~3月期は震災関連で3000万ドルの費用が発生した。これにより1株利益は2セント減少しており、投資家向け広報(IR)担当副社長のロン・スレイメーカー氏は、2000万ドルの売り上げ減も生じたと説明した。
同社は先に、福島県の会津工場と茨城県の美浦工場で損傷が発生したと発表していた。会津工場への影響は比較的軽微だったが、美浦工場は「相当な被害」としていたため、その影響が懸念されていた。18日の最新の報告によると、会津工場はまもなく全面再稼働に入る予定。美浦工場ではすでに初期のウエハー生産を再開し、7月中旬にも全面稼働に戻れる見込みとしている。
しかし、この美浦工場の全面稼働に伴い出荷が本格的に再開されるのは9月になる。同工場は売上高ベースで同社全生産量の1割を担う重要生産拠点だ。
このことはTIが明らかにした4~6月期の業績予想にも反映されている。同社は同四半期の売り上げ予想を34億1000万~36億9000万ドルに修正した。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、従来は売り上げの伸び率を2ケタ台の前半と見ていたが、震災の影響を織り込んでこれを5%に下方修正。また1株利益予想は52~60セントとし、震災関連のマイナス影響として約5セント減少するという見通しも明らかにした。
マーチCFO「TI製品の潜在需要は高い」
TIのリッチ・テンプルトン会長兼最高経営責任者(CEO)はこの1~3月期を振り返り、「1月と2月は顧客需要も予測を上回る伸びを示していた。しかし震災の影響で3月中旬から需要が停滞し、生産への影響も出た」と話している。結果として、売上高は予想レンジの中間値を下回ったという。