(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
最近の安倍内閣と自民党を見ているとタガが外れてしまったのではないか、という危惧を抱いてしまう。「タガ」というのは、桶や樽などのように円形に組んだ木版の外側にはめて固定する輪のことだ。寿司桶などは、金属の輪で固定してあるものが多い。それが外れるわけなのでバラバラになってしまう。つまり無秩序になってしまうということである。
桜を見る会に1万8000人以上も招待したことも、そこに数百人もの安倍晋三首相の後援会員が入っていたことも、まさにタガが外れてしまっていると言う他ない。
秋元司議員、なんと公然たる金の受け取り方か
年の瀬も押し詰まった12月26日、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業への参入を目指していた中国企業から370万円相当の賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部は秋元司衆議院議員(自民党を離党)を逮捕した。
秋元容疑者は、2017年8月~2018年10月までIR担当の内閣府副大臣であった。その在任期間中2017年9月下旬ごろ、中国企業「500ドットコム」側から都内で現金300万円を受け取っていたほか、2018年2月中旬ごろには北海道への家族旅行の招待を受け、旅費など約70万円相当の利益供与を受けていたという。
贈収賄事件では、金を受け取った側に職務権限があるか否かが、いつの場合も大きな争いになる。だから普通は、こういうときには金の受け取りに慎重になるものなのである。だが秋元容疑者の場合には、報道を見る限り、なんのためらいもなかったようだ。特捜部も収賄の立証に相当な自信を持っていると思われる。