出雲大社 撮影/みかめ ゆきよみ

(みかめ ゆきよみ:ライター・漫画家)

 2020年の干支は「子(ねずみ)」。令和はじめての新年は、干支にちなんだ神社で運気をアップするのはいかがでしょうか。

大国主命とねずみの関係

 まず「子」にちなんだ神社は、必ずと言っていいほど大国主命(おおことぬしのみこと)が祀られています。七福神の大黒様と言えば馴染みがあるのではないでしょうか。大国主命は「因幡の白兎」のエピソードが有名ですが、実はねずみとの縁も深いのです。

 大国主命は、須佐之男命(すさのおのみこと)の娘・須勢理毘売(すせりびめ)を娶るため、須佐之男命より3つの試練を与えられます。

 2つの試練をこなし、3つ目の試練「野原に放たれた鏑矢を取ってくる」をクリアするため野原に入った大国主命。すると須佐之男命は野原に火を放ち大国主命を追い詰めます。その時、大国主命の足元にねずみが現れ、自分の住みかに逃げるように伝えます。さらにねずみは鏑矢も探してきてくれました。

 このような縁から、大国主命である大黒様の像にしばしばねずみが見られるようになったのです。

出雲大社(島根):大国主命を祀る神社

 神の国、出雲に鎮座する出雲大社。日本最古の歴史書である『古事記』にも記されるほど古く、神話の中で語られる「国譲り」に縁があります。

 祭神の大国主命は、須勢理毘売と結婚したのち国造りに邁進し、葦原中国(あしはらのなかつくに)を完成させます。

 しかし、高天原(たかまがはら)の天照大御神(あまてらすおおみかみ)が国を譲るよう大国主に要請します。そこで大国主側は建御名方(たけみなかた)を、天照大御神側は建御雷神(たけみかづち)を出して力比べで決着をつけることになりました。結果は建御雷神の勝利。天照大御神に国を譲ることになったのです。

出雲大社の大国主神。撮影/みかめ ゆきよみ

 国譲りののち、大国主命を祀る壮大な宮殿が造営されました。これは「天日隅宮(あまのひすみのみや)」などと呼ばれています。本殿は高さ96メートルとも、48メートルともいわれていますが、現在も謎に包まれています。これが時を経て出雲大社になったのです。

 国譲りの舞台であり、神話の時代から連綿と続いてきた出雲大社。そのスケールの大きさに圧倒されます。

大豊神社(京都):珍しい狛ねずみが鎮座

大豊神社 撮影/みかめ ゆきよみ

 京都「哲学の道」沿いにある大豊神社は、全国的にも珍しい「狛ねずみ」がある神社です。大豊神社は仁和3年(887)に宇多天皇の病気平癒を願い、宇多天皇の養母の藤原淑子が建立しました。病気平癒のご利益がある少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られています。狛ねずみは大豊神社の末社である大国社のほうにあります。

大豊神社の狛ねずみ。撮影/みかめ ゆきよみ

 元々は椿ヶ峰という山に創建された大豊神社。現在の位置に移されましたが、今でも椿の名所として有名です。椿の季節になると誰とはなしに狛ねずみに椿が置かれ、かわいい姿を見ることができます。

大豊神社境内には狛ねずみに以外にも、火難除の愛宕社の狛鳶や、災難除の日吉社の狛猿もあります。どちらも非常に珍しいものなので、ぜひチェックしてください。撮影/みかめ ゆきよみ