田原 イランも高度なサイバー攻撃ができるんだ。

山田 アメリカにもサイバー攻撃を仕掛けています。2013年、イラン革命防衛隊のハッカーたちがニューヨーク州のダム管理システムに入り込んでいたという事実が、その数年後に発覚しました。イランのハッカーたちはニューヨークのダムを操作しようとしたんですね。ダム全体のシステムは無事でしたが、水門の制御システムは乗っ取られていました。これが進めば、アメリカ経済の中心地の電力システムを握られたり、洪水を引き起こされたりする事態になりかねません。イランもサイバー攻撃の高い技術を持っているのです。

「アメリカは中国からのサイバー攻撃を防御できないの」(田原)、「かなりやっていますが、中国はさらにこの防御網を超えてやってくるんです」(山田)

田原 日本はイランから攻撃されていないの?

山田 いえ、されています。特に狙われているのは大学です。個別の大学名は公表されていませんが、日本を含め、世界中で300~400の大学がサイバー攻撃をイランから受けているんです。

サイバー攻撃を完璧に防ぐのは不可能

田原 日本はイランと仲がいいはずなのに、なぜ日本の大学まで狙うんだろう。

山田 おそらく現場でサイバー攻撃を担当するイラン人たちは、攻撃する相手に関して、特に区別はしていないんじゃないかと思います。要するに学術的な研究——例えば世界各地の石油の埋蔵ポイントや、埋蔵量などは、ものすごいおカネと時間をかけて調査するわけですが、そのデータはどの国ものどから手が出るほど欲しい。そのために大学の研究室などにサイバー攻撃を仕掛けたりするわけですが、するとその標的の中に自動的に日本も入ってくるということだと思います。

田原 敵か味方かなんてどうでもいいんだ。

山田 現場でサイバー攻撃を仕掛ける人たちには関係ないでしょうね。知的財産や機密情報を盗みたいだけですから。

 知的財産の盗みぶりは、中国も相当です。特にアメリカの知的財産をごっそり奪っている。それこそ戦闘機や潜水艦エンジンの設計図まで、軍事的機密情報まで盗んでいっています。

田原 アメリカは、サイバーセキュリティで守れないの。

山田 やってはいるんですけど、中国の攻撃はそこを超えてくるんですね。

田原 どれほど高い技術力をもってしてもサイバー攻撃を完全に防ぐことはできないんですね。

山田 そうなんです。

(続きはこちら)日本の国民をまるで守れない自衛隊のサイバー部隊
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58727