そこでヤマダが取った手は、第三者割当増資でソフトバンクから227億円を調達、店舗閉鎖、スクラップ&ビルド、アウトレット店や免税専門店などの業態転換など徹底的なリストラだった。その結果、肝心の業績はと言えば、2016年3月には売り上げは前期の1兆6644億円から1兆6127億円と減少したが、営業利益は199億円から581億円と急増。その後、売り上げは横ばいを維持しているが、営業利益の減少は続いている。2019年3月期は279億円まで減少してしまった。
要するに、家電量販日本一ではあるものの、ヤマダ電機自体が業績立て直しの真っ最中であり、その最前線で指揮を執っているのが、創業者であり代表取締役会長である山田昇氏なのである。
価格ではアマゾンに対抗できない
家電販売店は、他店よりも1円でも安い価格を提供することで、販売量を拡大。それによりメーカー側への発言力も獲得し、業容を拡大してきた。しかし、アマゾンを核とするネット販売が家電の世界に及んでくると、価格面で対抗するのは難しくなる。
実店舗を構えるヤマダなどが取れる戦略は、「低価格販売」だけでない接客やさまざまな提案などのトータルサービスで顧客を囲い込む、というものになる。
そこでヤマダが力を入れているのが、リフォームや住宅事業だ。2011年には、プレハブメーカー、エス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を買収、太陽光発電やオール電化を売りにした「スマートハウス」事業に進出。12年には住宅機器メーカーのハウステックを買収。家電以外の業態にも手を広げた。さらに17年からは家電製品のほかソファやベッドなどの家具やキッチン用品などを販売する「家電住まいる館」を展開、18年3月までに埼玉、神奈川、千葉など既存店20店舗を改装、さらに類似業態として高崎、自由が丘、立川、千里などのLABI店舗を改装した「LABI LIFE SELECT」を展開した。
かつてのような急成長が見込めない中、ヤマダの生き残りがかかっているのがこのリフォーム・住宅事業なのだ。
そんな中で飛び込んできたのが大塚家具との提携話だ。2018年7月のことだ。その後、事業での協力体制は密接になっていく。