ワンコインのワインと1万円以上する高級ワインの差は、一体何なのか。その価格の差はどこから生まれるのか。クリスマスや記念日に、より良いワインを買うために、『ワイン法』(蛯原健介著、講談社選書メチエ)を一読してみることをおすすめしたい。(JBpress)
※本稿は『ワイン法』(蛯原健介著、講談社選書メチエ)より一部抜粋・編集したものです。
「ヴィンテージ」
ワインは難しい。ワインはよくわからない。いまなお、このようにいわれるのを、たびたび耳にすることがある。
かってよりも、日本人にとってワインは身近な存在になってきている。だが、ふだんワインをあまり飲まない人にとっては、産地や品種、あるいはワインが醸造された年(これを一般に「ヴィンテージ」と呼んでいる)しだいで味が違うだとか、値段が何倍も違ってくるとか、理解できないことが多いだろう。
ブドウには多種多様な品種があるけれども、ワインに使われる品種はある程度限られていて、ラベルに品種名が書かれていることもある。同じ品種のブドウであれば、だいたい似たような味わいになるといわれる。
たとえば、もっともポピュラーな赤ワイン用品種のひとつである「メルロ」は、「ボリューム感と凝縮した果実味があり、舌触りはシルクのよう。カシスやブルーベリーなどのアロマが主体であり、熟成するとプルーンや皮革のようなブーケが感じられる」ワインを生むとされる(山本博監修『最新ワイン学入門』河出書房新社)。
もちろん、同じメルロのワインであっても、数十年の熟成に耐えるものもあれば、比較的軽めなもの、果実味の少ないもの、あまり熟成向きではないものもあったりするが、プロのソムリエであれば、ブラインドテイスティング(ワインの情報を隠しての利き酒)で品種を当てることはできるだろう。