サントリーが販売しているウィスキー(写真:つのだよしお/アフロ)

 11月ともなると、モスクワはもう日本の厳冬と言っても良い寒さになる。日中の平均気温は4度からマイナス2度の間を行ったり来たりする。

 こんな寒さを迎えて、元気になるのが街の酒販店、特に輸入品のウイスキー、スピリッツ類を並べたブティックと呼ばれる高級酒類小売店である。

 彼らは、スーパーマーケットでも買えるスコッチやアイリッシュウイスキー、あるいは米国のバーボンにはそれほど注力せず、珍しい少量生産の輸入銘柄を揃えることにおいて、凌ぎを削っている。

 国民の可処分所得は減る一方というロシアだが、12月のプレゼントシーズンともなると、富裕層の個人や企業は年末のプレゼントを希少品から選ぶことが多く、スコッチのシングルモルト(産年入り)は、ランキングではいつも上位に入っている。

 こんなブティックにちょっとした異変が起こっている。

 それは、従来のスコッチウイスキーの稀少銘柄に加えて、ジャパニーズウイスキーがその存在を広げ始めていることだ。

 ブティックの棚に並ぶジャパニーズウイスキーとは、我々のよく知るサントリーやニッカと言った大手メーカーによる製品ではない。

 酒類業界にはわりと詳しいことを自負している筆者でさえ、これまで聞いたことのない銘柄が並んでいる。読者の皆さんは次のジャパニーズウイスキーがどこの酒造メーカーのブランドかお分かりになるだろうか。

*KENSEI(剣聖)
*KAIYO(海洋)
*NOBUSHI(野伏)
*TOKINOKA(刻の香)

 製品名をローマ字で書いたのは、そもそも漢字はお飾り程度でしかなく、ラベルにはあくまでも大きくアルファベットが書かれているからである。