アマゾンウェブサービス(AWS)のロゴ。2018年9月サンティアゴ。(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コム傘下のクラウドサービス事業である米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は12月3日、次世代通信規格「5G」を利用したクラウドサービスの提供で、各国の通信大手と提携すると発表した

低遅延を実現する「エッジコンピューティング」

 アマゾンと提携したのは、米国のベライゾン・コミュニケーションズや英国のボーダフォン・グループ、日本のKDDI、韓国のSKテレコムなど。これら世界の通信大手と協力し、2020年にも日本・米国・欧州・韓国で5Gの特徴を十分に生かしたクラウドサービスを企業に提供したい考えだ。

 5Gは高速・大容量・多接続などと説明されることが多いが、もう1つ重要な特徴は「低遅延」である。これにより、自動運転や遠隔医療、工場などにおけるIoT (モノのインターネット)機器などの通信制御の精度が格段に向上すると言われている。

 アマゾンと通信大手は、「エッジコンピューティング」と呼ばれる手法を用いて通信の質をさらに向上させようとしている。

 エッジコンピューティングとは、利用者により近い場所にコンピューターやストレージなどを置いて、迅速なデータ処理を実現する技術。従来のクラウドサービスに比べ、低遅延化や回線帯域の削減が図れる。

 アマゾンは今回の提携に合わせて、「AWS Wavelength」と呼ぶ新たなコンピューティング・ストレージサービスを始める。アマゾンの機器を、ベライゾンやKDDIなどの5Gネットワークの末端(エッジ)に設置し、コンピューティング処理のさらなる低遅延化を図るものだ。

 KDDIによると、5Gを利用したエッジコンピューティングは自動運転をはじめ、建機の遠隔操縦やスマートファクトリー、高精細VR(仮想現実)/AR(拡張現実)、「ビジュアル・ポジショニング・サービス(VPS)」と呼ばれる位置情報サービスなどの分野で活用が見込まれているという。