通年採用が進み、ポテンシャル採用とプロフェッショナル採用の2極化へ
学生・企業の双方が採用の早期化や通年採用を望んでいることから、小野氏は「将来的には採用ルール変更に伴う採用手法の多様化が進んでいくことが推察される」として、「企業が新卒一括採用中心の採用モデルから脱却し、採用の裾野が広がっていく」とする見解を示した。また「新卒よりも若い世代から、知識・経験を十分に積んだプロフェッショナルにまで採用の裾野を広げると同時に、各企業が必要とする人材要件に応じて最適な採用チャネルを特定することが求められるようになる」と語った。
具体的には、これまで一般的だった「新卒一括採用」だけでなく、大学生よりもさらに若年層に向けた「ポテンシャル採用モデル」と優秀なキャリア人材を重視する「プロフェッショナル採用モデル」による人材獲得の2極化になると予測している。EYの資料によれば、「ポテンシャル採用モデル」とは、純粋培養・純血の次世代リーダーを重視するモデルのこと。個々人の育成に伴う工数・コストが高くなるため一定のリスクを孕むが、将来的に企業に多大な利益をもたらす可能性がある。一方、「プロフェッショナ採用モデル」は、ある程度の経験と知見を持った人材を重視するモデルで、優秀人材獲得のため常に市場競争に晒されるが、採用のミスマッチを軽減できるメリットがある。
小野氏は「これらの採用モデルを実践するには、自社が人材を採用する目的や人材に求める要件を明確化する必要がある」と語り、「単純に採用の間口を広げるだけでなく、それぞれの採用モデルの特徴を理解し、自社に最適な採用のポートフォリオを検討することが肝心である」との見方を示した。
ポテンシャル採用モデルについて、小野氏は「すでに明確なコアビジネスや技術を有する企業は、新卒の一括採用だけでなく、既存ビジネスを担っていくコア人材を集めるためのポテンシャル採用に目を向け、就活の主体ではなかった高校生などに対しても自社の認知を広げていくための啓蒙・PR活動を推進していくといった動きが想定されます」と説明。
また、プロフェッショナル採用モデルに関しては、「事業の多角化や新規事業の立ち上げを志向する企業であれば、中途採用で即戦力となるプロフェッショナルを採用していくことが求められるでしょう」と語った。