チョ・グク長官任命後も韓国メディアの取材熱気は収まる気配がない。チョ氏をめぐる検察の捜査過程で流れる情報やチョ氏と家族をめぐる新たな疑惑が連日、韓国メディアを賑わせている。新聞の1面はいつもチョ氏関連記事で埋められ、ケーブルチャンネルのニュース番組では1時間の放送枠のうち、半分以上がチョ氏関連ニュースだ。特に、チョ氏攻撃の先鋒に立っているTV朝鮮のメインニュースは、連日最高視聴率を更新するほど気を吐いており、それに比べてチョ氏疑惑をわざと扱わない地上波テレビのニュースは苦戦を強いられている。

「反日」という名の伝家の宝刀

 このように、世論がなかなか落ち着く兆しを見せない中、文在寅政権が再び向かおうとしているのが「反日」だ。

 チョ・グク長官任命の翌日の10日、文大統領は韓国科学技術院(KIST)で定例国務会議(閣議)を開催した。チョ長官など6人の閣僚らが初めて参加した同日の閣議のテーマは、文政権が「伝家の宝刀」のように振り回す反日だった。

 文大統領は「今日の会議は誰も揺るがせない強い経済を作るという意志を込めて、韓国科学技術院で開かれた」と、KISTで閣議を開く理由を説明した。この席で、文大統領は韓国製の素材・部品・装備産業の競争力強化のため、すでに打ち出されていたいくつかの措置を再び列挙し、日本の輸出管理厳格化措置に対抗して、半導体素材の国産化に政府の支援を惜しまないと強調した。結局、この閣議は「竹槍をもって日本に立ち向かおう」と、反日の先鋒に立ったチョ長官を浮き彫りにすることで、彼の任命に対する批判はもちろん、政権に向けた国民の憤りを和らげるという局面転換を試みた演出だろう。

 同日、金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官は記者会見を開き、航路問題をめぐって日本を強く非難した。この日の記者会見は、最近航空機衝突の危険性が浮き彫りになった、済州島南端を通る「アカラ航路」の安全対策と関連したものだった。