アカラ航路は日中韓3カ国の航空管制が交差する地域。金長官は、アカラ航路の安全対策推進に国際民間航空機関(ICAO)と中国は前向きだが、日本だけが特に非協力的で遺憾だと主張した。

政権の誘導で世論は再び反日になびくのか?

 韓国メディアによると、当初、この日の記者会見は航空政策室長が進める予定だったが、前日になって急遽、金長官が行うことになったのだという。そのうえ、金長官は3~4分間行われた発言で「(日本は)前向きな姿勢で直ちに対話に参加すべき」「日本は国際社会の一員として責任を尽くすべき」など、強い口調で日本を非難した後、記者団の質問には一切応じず、退場してしまったのだという。敏感な航路問題について専門知識のない長官が前面に出て、「日本は対話に応じろ」という反日記者会見を開いたばかりか、いざ自分に質問が向けられそうになると、記者たちを無視したまま退場してしまったというのだ。

 これについて中央日報は、「多者間の交渉が行われている敏感な事案を長官が前面に出て記者会見を行い、相手国を事実上批判したことは、これまで見たことがない」という航空専門家の言葉を引用し、「誤れば日本がさらに強く反発し、交渉の行方が崩れる恐れがある」と指摘した。

 11日には産業通産資源部が、半導体の核心素材3品目の韓国への輸出管理を厳格化した日本の措置について、WTOへの提訴を確定したと明らかにした。この7月1日、日本政府の措置が発表されてから72日後の決定だ。韓国国内でも「よりによってなぜこのタイミングで?」という疑問が出てくるのは当然だ。

 この他にも放射能汚染水の放流、東京オリンピックをめぐる旭日旗問題など、文在寅政府が活用できる「反日材料」は限りなく多い。果たして、韓国国民は、文在寅政権の意図どおり、もう一度日本を向かって怒りの炎を吹くのか。今後の韓国国民の世論の推移を見守ってみよう。