深夜のセブンイレブン店舗(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 セブン&アイHDは、8月1日の記者会見で、7月1日に開始したスマホ決済サービス「7pay( セブンペイ)」を9月末で廃止すると発表した。

 国内はおろか世界でも有数の巨大な流通企業が鳴り物で始めたサービスが、開始から3カ月で撤退を迫られるという異例の事態である。

 他方、同時期にサービスを開始したファミリーマートのスマホ決済サービス「ファミペイ」は順調にサービスを提供している。

 セブンペイの失敗は、政府が推し進めるキャシュレス化に水を差すうえに、コンビニエンスストアなどでのスマホ決済への信頼を損なうものであり、その影響は大きい。

 スマホ決済は既に普及している技術であるのになぜ、セブンペイは失敗したのか。大きな疑問である。

 セブンペイの失敗の事例から、これからスマホ決済事業に参入しようとする企業などにとって、他山の石となる教訓を得るのが本稿の目的である。

 以下、初めに政府が推し進めるキャシュレス化の目的などを述べ、次に「7pay( セブンペイ)」事案の概要を述べ、次に、セブンペイの失敗から学ぶ教訓を述べ、最後に提言を述べる。