韓国最高裁、三菱重工に賠償命令 元徴用工・挺身隊訴訟

韓国ソウルの韓国大法院(最高裁)で、判決を受けて手を上げる元徴用工・挺身隊訴訟の原告団(2018年11月29日撮影)。(c)Jung Yeon-je / AFP

残り1018文字

政権よりの新聞でさえ政権批判に

 批判はこればかりではない。経済誌「毎日経済新聞」は、文在寅政府の解決策は「政府は後方へ身を引いたまま、両国の企業にだけ責任を転嫁する案」とし、外交的守勢に追い込まれた文在寅政府が、大阪G20会議を控えて徴用工問題に対する「その場しのぎの提案」をしたと厳しく批判した。

 さらに同紙は、約23万人と予想される元徴用工の補償金は23兆ウォンにも達する天文学的な金額だが、韓国外交部は事前に韓国企業の意志確認もせず、企業にだけ責任を転嫁する案を公開したと報じている。さらにシン・ガクス元駐日大使の言葉を引用して「韓国政府も請求権協定で資金を受けた以上、当然責任がある」「政府が司法府尊重と三権分立をあまりにも形式的、固定的に解釈している」と政府の対応に疑問を投げかけた。

 驚くのは、政権寄りで知られる進歩系の日刊紙「京郷新聞」にさえ、文在寅政権の提案は「万事之嘆」と批判されてしまったことだ。

 同紙は社説で、「昨年11月からタスクフォースを発足して徴用工訴訟をめぐる対策を講じてきた韓国政府が、とっくに検討されてきた案を出すまで8カ月近くもかかったことは理解しがたい」と述べ、さらに「徴用工訴訟問題は韓日関係を揺るがしている核心原因であるにもかかわらず、これまで文在寅政権の態度は非常に生ぬるいものだった」、「日韓間の局長級会談を何度か開く振りをするだけで答えを先送りにし、日本が仲裁委員会付託を要求する事態を招いたことは遺憾だ」と口を極めて批判。

 かろうじて、「強制動員被害者の追加訴訟が相次いでいる状況で、被害者たちの反発の可能性を甘受しながら出した提案であるだけに、日本側には大乗的見地から検討することを求める」と、日本に対する注文を付け加えるのが精いっぱいという有様だ。