パフォーマンスが未熟な段階から露出させる「研修生モデル」は定着しつつありますが、実際のパフォーマンスを向上させるレッスン環境など育成体制が中国ではまだ確立されていないという指摘があります。そのため一部の中国芸能事務所は、提携先事務所のある韓国へ所属タレントを派遣し、アウトソーシングのような形で研修を受けさせています。

 ビジネスモデルも日韓より遅れをとっています。現在の中国アイドル業界の収益はほぼ音楽活動から得ており、ドラマや映画といった派生映像分野からの収益は日韓市場よりも、まだまだ低い状態です。近年はバラエティ番組の出演料収入が拡大しているようですが、今後は海外展開を含め派生分野での収益確保が重要となってくるでしょう。

売れたらすぐに独立、契約トラブルも

 このほか中国アイドル市場の特徴として挙げられるのは、アイドルが売れるとすぐに事務所からの独立に動いたり、ギャラの取り分を巡ってグループ内で争ったりするといった契約トラブルが少なくないことです。芸能事務所に資本や育成ノウハウがなかなか蓄積されないのは、アイドルが売れるそばからすぐに独立してしまうから、という要因もあるようです。

 その一方、中国では近年のアイドル市場の盛り上がりを受けて、芸能事務所が急増しています。現時点では芸能事務所の大半は赤字状態にあり、市場はやや乱立気味とされていますが、中国が国産アイドルを量産し始めた点は東アジア芸能市場にとって大きな動きと言えるでしょう。

 今後、中国出身アイドルの活動が中国国内市場にとどまるのか、日韓を含む海外市場にも広がるか、大いに注目したいところです。