しかし、文在寅政権の野心に満ちたこの計画は、ファーウェイボイコット問題で一気に激化した米中貿易戦争のとばっちりを受ける形で、轟沈してしまった。24日、韓国メディアは、「習近平主席の訪韓を向けて文在寅政府が準備していたソウル市内のホテルの予約がキャンセルされた」と報じ、習近平主席の訪韓は事実上霧散したと分析した。その代わりということなのか、5月の最後の週に中国政府の高官3人が韓国を連続訪韓すると報じられている。これについて、多くの韓国メディアは、「トランプ米大統領の訪韓の前に、米韓間の密着をけん制するための訪韓」という見解を伝えている。
「頼みの綱」のトランプ大統領との米韓首脳会談も、文在寅政権の意図とは全く違う方向へ流れる可能性がある。
韓国メディアによると、今回の米韓首脳会談では、ファーウェイボイコット問題が議題に上がる可能性が高い。そうなれば、これまで「民間企業間の問題は政府が関与できない」という主張で避け回ってきた文在寅政権は、かなり困難な立場に置かれるという。さらに長期化する中国との貿易紛争で北朝鮮問題に対するトランプ大統領の関心が徐々に減っているため、文在寅政権が待ちわびている「米朝対話の早期再開」は一層難しくなるだろうという悲観的な見通しも相次いでいる。
「見回しても関係改善されている国は見当たらない」
韓国No.1の経済専門紙『毎日経済新聞』は社説で、「令和時代初の国賓として訪日しているトランプ米大統領と安倍晋三首相との『蜜月外交』が注目を浴びている」と、両首脳の親密な日程を詳しく報じた。それに比べ、文在寅政権は、北朝鮮の核問題をめぐって米国との間では意見の食い違いがたびたび露呈し、日本とも対立するなど、「周辺のどこを見回しても関係が改善されている国は見当たらない」と批判した。
『東亜日報』は、「北朝鮮の核問題と南北関係改善に『オールイン』(すべてをかける)してきた文在寅政権の外交が、北朝鮮の非核化が足踏み状態になったことで東アジアで孤立している」と指摘した。加えて、「日韓関係は過去最悪であり、米国との不協和音は後を絶たない」「一方、日米は、第2次世界大戦後、最高とも言われる『新蜜月』時代を謳歌している」などと評価した。
さらに、文政権外交部では、トランプ大統領と文在寅大統領との間で行われた電話会議の内容が野党議員によって暴露されるという大事件も起こった。暴露された内容は、文大統領がトランプ大統領に対して「5月に日本を訪れる際に、韓国にも少しでもいいので立ち寄ってほしい」と懇願するようなやり取りだった。この事態を受けて大統領府は、電話会談の内容を野党議員に漏らした犯人を捜し出すため、外交部職員たちの携帯電話を没収して検査を行い、与党は件の野党議員を「3級機密漏洩」の疑いで検察告発した。それに対して野党側では「与党の元議員も昨年、放送に出演して通話内容を流出した」と反撃するなど、騒ぎはますます拡大している。大統領府、外交部と国会まで総動員された「修羅場」が続く中、肝心なトランプ大統領の訪韓日程と議題に対する議論はまったく進められていない。
北朝鮮問題に前のめりになったあげく、国際情勢を読み間違っている大統領府や、アマチュア的な失敗を繰り返す外交部によって、韓国外交の「ガラパゴス化」はこれからも続く見通しだ。