それから1カ月余りが過ぎた5月16日、午前5時という早朝に、韓国大統領府はメディア各社に次のような書面ブリーフィングを行った。

「文在寅大統領の招請で、トランプ米大統領は6月下旬に開催されるG20首脳会議への出席きっかけに訪韓する予定。具体的な日程は後日外交チャンネルを通じて協議していくことにしました。(中略)

 今回の首脳会談で両首脳は、韓米間の緊密な共助の元、韓半島(朝鮮半島)の完全な非核化による恒久的平和体制の構築と韓米同盟の強化策について協議する予定です」

G20大阪サミットをテコに大国首脳を招請する計画も・・・

 さらに、2日後の5月18日には、もう一つのビッグニュースが流れた。「中国政府との間で習近平主席の訪韓について協議中であり、G20首脳会議前の訪韓を目指している」という大統領府関係者の発言が報道されたのだ。すなわち、文在寅政権が大阪G20首脳会議を契機に、米国と中国の首脳をそれぞれ韓国に招請して、連続首脳会談を開催する計画を推進していることを明らかにしたのだ。加えて、両大国の首脳会談をきっかけに、6月中に4度目の南北首脳会談を試みるというのが文政権の狙いだ、とする報道もあった。

中韓首脳が北京で会談、両国の関係修復に注力

大統領就任後の初訪中で、北京の人民大会堂で習近平国家主席(右)と握手する文在寅氏(2017年12月14日撮影)。(c)AFP/Nicolas ASFOURI AND NICOLAS ASFOURI〔AFPBB News

 実現すれば、米中貿易戦争の荒波の中、隣国の日本の国際行事を巧みに利用して、米国と中国の首脳を「時間差」で自国に招き寄せ、これをテコに北朝鮮まで動こうという絶妙な計画と言える。停滞していた文政権の外交戦略が一気に動き出したかに見えた。