アルムナイが強いと有利です。退職した後、違う会社や業界で活躍する方もいるものです。どんどん、ネットワークが広がっていきます。そう、アルムナイは「信用社会」です。同じ企業に勤めた文脈があるので信用が担保されます。どんな価値観でどんなスキルを身に付けているかが不思議と肌感覚で分かり合えるからです。

 アルムナイネットワーク内で会社、人材、ビジネスの紹介、コラボといったビジネスから趣味の集まり、子育てや介護の相談といったプライベートまで、関われる範囲は広くなります。

 そう、そのアルムナイが強い会社は、卒業してからも美味しいのです。なぜなら、退職者は毎年必ずでるものなので、アルムナイのネットワークは年々広がり、濃くなっていくからです。年会費もかからず、無料でアルムナイという「信用社会」を手に入れられるのです。

 私の例を出しましょう。私が在籍した外資系コンサルティング会社はどこもアルムナイがあります。アクセンチュアはアルムナイネットワークが強く、ex-acというメーリングリストとFacebookの非公開のグループがあります。登録には審査があり、ex-ac内の紹介者がいないと承認されません。登録者はそれぞれ約2000名。ex-acに投げかけると必ず期待以上の返事がくると有名です。毎日数通は必ず新規の投稿が流れてきます。お互い尊重し、無償でコラボしています。お互いの活動がいい意味で刺激になっています。

 アルムナイがある企業は2度美味しいのです。一つは企業と社員・退職者が良好な関係なのかを判断するリトマス試験紙になります。もう一つは退職者もあなたのネットワークになるので選択肢や可能性が爆発的に増えます。

 出会いより別れが綺麗なのかが大事です。ブラック企業でも採用時にはいいことしか言いません。見極めるなら直球で「アルムナイはありますか?」と聞くのが一番です。結論はすぐ分かります。「なぜ、アルムナイの有無を聞くの?」と不審に思われたら、こう返しましょう。「単に、今の会社にアルムナイがあるので」もしくは「今の会社でアルムナイを立ち上げる話があるので、聞いてみただけです」と言えば、相手は素直に答えざるをえなくなるので大丈夫です。

辞めた社員がどれだけ活躍しているかで成長チャンスが分かる

「わが社では若手でこれだけ活躍している!」というPRはよくあるものです。実際、活躍されているリーダーとお話しさせていただく機会もあるでしょう。確かに、一緒に仕事をしたい魅力的な方も多いものです。ここで1点注意があります。現役社員だけでなく、退職された社員が、違う会社でどれだけ活躍しているかを聞きましょう。

 なぜかというと、その会社で活躍しても、世の中では通用しないことはよくあるからです。ごく一部の魅力的な社員しか紹介せず、他は全然ダメなこともあります。

 その企業の卒業生が違う会社で活躍していれば堂々と教えてくれます。逆に、退職者が都落ちしたような会社や仕事にしかつけなければ教えてくれません。

 社員が成長する機会があるか。実際に社員が世の中で通じるくらい成長しているかは、卒業生の他社での活躍を見るしかありません。「こんなに教育の機会があります」とか、口ではいくらでも言えるからです。研修よりうちは実践のOJTで成長が速いといっても社外で通用しなければ意味を持ちません。会社名や個人名も具体的に聞くといいでしょう。個人名は難しくても、多い転職先の企業名は教えてくれるのが普通です。