「退職者はわが社では通用しなかった」という言い訳をする企業もありますが、それは人をきちんと成長させられないのと一緒です。退職者が活躍されているかはGoogleでも調べられます。その会社の企業名を入れて検索すれば、たくさん記事が出てくるでしょう。その中で卒業生を探せばいいのです。SNS等の繫がりで、その会社の在籍者と繫がり、ランチや飲み会で本当の姿を聞くのも有効です。

「仲間」を強調する会社は給料が安い上、成長チャンスは微妙

 退職理由の不動の1番は「職場の人間関係」。一緒に働く上司や同僚との人間関係はとても重要ですが、「仲間」を強調する会社は注意が必要です。

 考えてみてください。一緒に働く仲間は大事に決まっています。仲間を大事にしないことを売りにする会社は成り立ちません。仲間をメインに強調する会社は2つリスクがあります。1つは売りになるものがないというリスク、もう1つは、オーナー社長と馬が合う人しかいない集団というリスクです。

 なので、ランチ、飲み会など、集まる機会を多くし、仲良くなって「もう、ええやろ!」と口説くのがリファーラル(社員紹介制度)のコツと解説するコンサルタントもいるくらいです。意識高い系はチャンスや報酬の条件が合わずに退職する確率が高く、他社と比較して売りがない会社は、文句を言わず、普通に長く働いてくれる人の採用がキーなので、理屈でも条件でもなく仲良くなることが一番とも言っていました。

 人事制度の中身をみると「仲間」を一番に強調する組織ほど、実は報酬水準が低かったりします。仲間なので評価や報酬でキッチリ差をつけない方が都合いいからです。

 逆にいままで一緒だと思っていたのに、急に評価や報酬でメリハリをつけると社員間で競争や妬み、恨み、嫉妬が発生し、信頼の輪が瞬時に壊れます。評価や報酬に対する信頼は一度壊れると元には戻りません。浮気がばれた後の夫婦のような関係になります。どこかギスギスし、今までなら流せていたことも「もしかしてまた浮気?」と勘繰るようになり、信頼関係は100%までは戻りません。日本人は「みんな」という言葉に弱く、その同調圧力を利用するので報酬水準も同業他社より低めな設定も多いのです。仲間なのでお金の話ははしたない、仲間を大切にみんなで頑張りましょうとなり、その感覚に麻痺してしまうのです。